ローランドとヤマハとカワイの電子ピアノを比較してみた結果、どれがいい?
ピアノの練習用に、趣味でピアノを弾くのに電子ピアノの購入を考えているけど、
どのメーカーの電子ピアノを買うか迷っていませんか?
音漏れを気にせずピアノの練習が自宅でもできるとして人気の「電子ピアノ」ですが、
初めて電子ピアノを使う場合にどのメーカーのものを選ぶのが正解か分かりません。
今回は大手楽器メーカーである「ローランド」「ヤマハ」「カワイ」なら
どちらの電子ピアノを買った方が良いのか、詳しく比較してみましょう。
ピアノメーカーとしてはヤマハとカワイ、電子ピアノではローランド
ヤマハとカワイの楽器メーカーとしての信用度は甲乙つけがたいです。
ヤマハは1887年に現在の静岡県浜松市で創業、1897年に前身となる
日本楽器製造に改組、1987年に現在ヤマハという社名に変更されました。
日本で初めて本格的なオルガンを製造したのがヤマハで、
1969年にはピアノの生産台数が世界一となります。
ピアノの販売額ではヤマハが2023年現在も世界一であり、
まさに日本を代表する世界のトップメーカーなのです。
カワイは1927年にヤマハと同じ静岡県浜松市で創業、
1951年に現在の「河合楽器製作所」に改組されます。
ピアノの生産量や販売額ではヤマハの後塵を拝していますが、
それでもヤマハに次ぐ世界2位のピアノメーカーです。
実はカワイの創業者は元々ヤマハに勤務しており、
1927年にヤマハから独立してカワイを作りました。
歴史やピアノ世界シェアを考えるとヤマハが上ですが、カワイも100年近い歴史が
あって世界シェアは2位なのでメーカーとしての信用度は甲乙つけがたいです。
ローランドは海外の楽器メーカーだと思われがちですが、
1972年に大阪で創業したれっきとした日本の楽器メーカーです。
現在はやはりヤマハ・カワイと同じ静岡県浜松市に本社を置いています。
創業当初から電子楽器とその周辺機器を専門的に製造・販売しており、
生ピアノや管楽器など一般的な楽器は一切作っていません。
電子ピアノはシンセサイザーとともに創業翌年の1973年から製造しています。
楽器メーカーとして比較するなら、ピアノ生産で世界1,2位の
ヤマハとカワイが圧倒的に上でローランドは太刀打ちできません。
しかしローランドは創業当初から電子楽器に特化していて、
電子ピアノの製造もカワイより早くから手掛けています。
楽器メーカーとしては敵わないかもしれませんが、
電子ピアノメーカーとしてはローランドが先駆者ともいえます。
価格で選ぶならローランドかヤマハ
初めての電子ピアノで購入費用を抑えたい場合は、
ヤマハやカワイより価格の安いローランドがおすすめです。
例えば、持ち運び可能なキーボードタイプで88鍵の電子ピアノがローランドだと
3万円台で購入できます。
カワイの同じキーボードタイプで88鍵の電子ピアノは
8万円前後となっています。
据え置き型のアップライトタイプの電子ピアノだと、
両者とも8万円台ですから大きな価格差はありません。
一方、ヤマハは持ち運び可能なキーボードタイプの電子ピアノだと、
5万円台から購入することができます。
据え置き型のアップライトタイプの電子ピアノは、
ヤマハだと7万円台ですがカワイは8万円台です。
機能が充実していてより本格的な演奏ができるスタンダードモデルだと、
ヤマハは22万円台から購入可能です。
カワイのスタンダードモデルは25万円台からとなっており、
やはりヤマハよりも2~3万円高いです。
安いからと言って質が落ちるわけではないので、
少しでも費用を抑えたい場合はヤマハを選ぶのが良いでしょう。
もちろん性能の違いがあるので単純に比較はできませんが、
電子ピアノを価格で選ぶならローランドかヤマハです。
ローランドにはグランドピアノタイプの電子ピアノもある
ローランドにはグランドピアノタイプの電子ピアノもあります。
カワイの電子ピアノはキーボードタイプとアップライトタイプのみで、
グランドピアノタイプはありません。
ローランドの本格的なグランドピアノタイプである「GP-9」シリーズの価格は、
安いもので120万円台、高いものだと180万円台となっています。
コンパクトなサイズのGP-3は30万円台、
GP-3とGP-9シリーズの中間サイズのGP-6シリーズは60~70万円台です。
音質はローランドがやや上
電子ピアノの音質については、好みの問題が大きいですが、
ローランドの方がやや上と言えます。
ローランドの電子ピアノの音は、
・スタインウェイ
・ベーゼンドルファー
・ベヒシュタイン
の3大ピアノメーカーを始めとして世界中のコンサートで使われている
グランドピアノの音を元にして作っています。
またローランドの電子ピアノでは鍵盤を弾いた時に、「ハンマーが弦を叩く」「弦が振動」
「振動がフレームに伝わる」「響板が響く」という一連の流れを再現しているのです。
デジタルで生ピアノが音を奏でる一連の流れをシミュレートすることで、
よりリアルな音・響き方を生み出せるようになっています。
ただし生ピアノの音が出る仕組みをシミュレートしているのは高価格帯のモデルだけで、
低価格帯モデルはグランドピアノの音をサンプリングしたものが使われています。
ヤマハの電子ピアノとカワイの電子ピアノでは音質が違いますが、
好みの問題なのでどちらが良いとは言えません。
どちらもそれぞれのメーカーのグランドピアノをサンプリングして音源を作っています。
ヤマハのグランドピアノは明るい音色で華やかさがありますが、
人によっては少し金属っぽい音に聞こえるという評判です。
カワイのグランドピアノは暖かみのある音色で柔らかい印象で、
カワイトーンとも言われる低音には重厚感があります。
ただヤマハに比べると音色が暗めで華やかさに欠けるとも言われています。
文字の説明だけだとヤマハの方が音が良さそうですが、
本当に好みの問題なので実際に聞き比べて検討しましょう。
暖かみのある柔らかい音色で、
低音はカワイトーンと言われていて重厚感があるのが特徴です。
低音に重厚感があるものの華やかさはあまり感じられず、
若干ですが暗い印象を受けます。
あくまで音質は好みの問題ですから、
音質で選ぶ場合は楽器店などで実際に聞き比べてみてから好きな方を選んでください。
鍵盤はカワイ
ピアノは鍵盤を弾いて音を奏でる楽器ですから、
鍵盤の質感や打鍵感は電子ピアノを選ぶ上で一つのポイントです。
特に、電子ピアノをアコースティックピアノの練習用と考えているなら
「鍵盤」が重要な要素となります。
電子ピアノの鍵盤を比較するとヤマハよりカワイが上です。
一般的に生ピアノは木製鍵盤で、電子ピアノは樹脂鍵盤が多いのですが、
ヤマハもカワイも電子ピアノに木製鍵盤を採用しています。
樹脂鍵盤は若干滑る感覚があるので、
木製鍵盤に慣れている場合には質感や打鍵感がしっくりきません。
その点ヤマハもカワイも木製鍵盤ですから、
指にフィットして木製鍵盤に慣れていても以違和感は無いです。
ただカワイは電子ピアノの全ての鍵盤が木製なのに対して、
ヤマハ白鍵のみが木製となっています。
ヤマハの電子ピアノの黒鍵は樹脂製ですから、
質感や打鍵感では全て木製鍵盤のカワイに少し劣ります。
一方、ローランドの電子ピアノの鍵盤は、低価格モデルは樹脂製、
中価格以上のモデルは樹脂を木材で挟み込んだハイブリッド鍵盤となっています。
樹脂製の耐久性と木製の質感を併せ持った鍵盤で、
表面は木製なので質感は生ピアノとほぼ同じです。
ただ打鍵感が若干軽いですから、
生ピアノの練習用として使う場合には少し違和感があるかもしれません。
打鍵感で選ぶなら生ピアノに近いカワイ
鍵盤の質感や、鍵盤を弾く感覚いわゆる打鍵感で
電子ピアノを選ぶなら、より生ピアノに近いのはカワイです。
カワイの電子ピアノの打鍵感はかなりグランドピアノに近いものとなっており、
グランドピアノと弾き比べても遜色がありません。
カワイの電子ピアノの鍵盤構造は、
グランドピアノと同じ「シーソー式」を採用しています。
グランドピアノは、鍵盤を押すと内部のダンパーによってハンマーが
打ち上げられて弦を叩いて音が出る仕組みとなっています。
カワイの電子ピアノも鍵盤を押すことでハンマーが打ち上げられて音を奏でる
仕組みになっており、打鍵感がグランドピアノにかなり近いのです。
鍵盤を弾く感覚や鍵盤が戻るスピードはほぼ生ピアノといったら言い過ぎでしょうか。
ヤマハは電子ピアノの鍵盤構造は公表されていませんが、
打鍵感が少し生ピアノとは違うと感じます。
一般的な電子ピアノは鍵盤の裏に付いている突起が
センサーを押して音が出るようになっています。
ハンマーを打ち上げるのと突起がセンサーを押すのでは感覚が
大きく違いますから、カワイの方がグランドピアノに近い感覚で演奏できます。
趣味で電子ピアノを演奏するだけなら樹脂鍵盤でも問題ないですが、
生ピアノの練習用で電子ピアノを使うならカワイがおすすめです。
まとめ
ローランドとヤマハとカワイの電子ピアノを比較しましたが、
今回の比較ではローランドの方が少しだけ上と感じました。
安くて種類も多いので自分の好みに合ったモデルが見つけやすいですし、
音質が良いので音にこだわるならローランドです。
ただ鍵盤の質感や打鍵感はカワイの方が生ピアノにより近いので、
生ピアノの練習用ならカワイの電子ピアノがおすすめです。
また、据え置き型だとヤマハのコストパフォーマンスが優れます。
音色の好き嫌いもあるので、
実際に楽器店などに足を運んで弾き比べてみて選ぶのもおすすめです。